ヤリマンと出会った話 5

その後オレは先輩を介さずにヤリマンと会っていた。オレとヤリマンはバディを組んで狩りに出た。オレの腕前はみるみる上達していった。狩場も渋谷にとどまらず、品川、横浜まで足を伸ばしたりした。

「結婚するんだ」

そう聞いたのはオレもまたヤリマンを名乗るようになった頃だった。ヤリマンを師匠と呼ぶようになっていた。

「だれと?」

「あなたの知らない人」

「そう」

「だからこれが最後のハント」

「じゃあ、師匠」

「なに?」

「今日はぱーっといきましょう」

その日、オレらは男女合わせて十数人をしとめ、知り合いを大勢呼んでどんちゃん騒ぎをした。呼ばれて現れた先輩は就職を決めていて、整った髪とスーツで「あの時童貞だったのが今じゃ立派な人殺しか」と感慨深げだった。みんな変わって行くもんです。そういう同期の友人はあまり変わらずにやっぱりちゃらちゃらしていた。師匠を景気よく送り出してから、先輩と同期で何軒かはしごした。少し泣いた。師匠の本名は結局聞かずじまいだった。

実は昨日、偶然師匠と会った。師匠は大きなおなかを撫で「今まで殺した分くらいは生んで穴埋めしないとね」とかつてのように朗らかに笑っていた。